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諏訪内晶子J.Sバッハ・プロジェクト2005

 12月16日に諏訪内晶子さん、フランソワ・ルルーさん、ヨーロッパ室内管弦楽団(弦楽のみ)のコンサートをサントリーホールで聴いてきた。演奏曲目は、ヘンデル作曲の合奏協奏曲変ロ長調、J.Sバッハ作曲のヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調、ヴィレシュ作曲のパッサカリア・コンチェルタンテ、J.Sバッハ作曲のヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調、C.P.Eバッハ作曲のシンフォニア第5番ロ短調、J.Sバッハ作曲の二つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調の6曲であった。
 まずは、構成の緻密さにうーんとうなってしまった。さほど単純ではないが形式的には、諏訪内&ヨーロッパ室内管弦楽団のコンサートでオーボエ独奏フランソワ・ルルーさん、ゲストヴァイオリンにチョーリャン・リンさんというものであるが・・・。
1曲目、ヨーロッパ室内管弦楽団によるヘンデルであるが、まったくもって上品かつ控え目な音量で淡々とした演奏を聞かせてくれたが、ある意味このコンサート全体の暗示であったかもしれない。2曲目のバッハではフランソワ・ルルーさんのオーボエ演奏を諏訪内&ヨーロッパ室内管弦楽団が支えるという感じで、もちろんソロバイオリンも必要な自己主張をするものの基本はオーボエ協奏曲という仕上がりであった。3曲目のヴィレシュではフランソワ・ルルーさんのオーボエ独奏が冴えわたった。また、ヨーロッパ室内管弦楽団メンバーがソリストとなったときの実力の高さも伺えるような、恐れ入ってしまう演奏であった。ブラボーの嵐になるかと思われたが、諏訪内さんが今日の主役だと思っている聴衆の皆さんはひょっとして遠慮されたのであろうか。静かだが長く演奏をたたえる拍手が続いて前半を終えた。
 後半に入って、4曲目のヴァイオリン協奏曲はまさしく高貴な方々のお出ましという感じの有名な曲であるが、諏訪内さんのヴァイオリンはまさに上品かつ優雅という感じで、2曲目同様に必要な自己主張はしているものの諏訪内&ヨーロッパ室内管弦楽団としてのバッハの理知的ではあるが華やかさを失わない解釈に、会場全体が酔っていたように思う。では、ヨーロッパ室内管弦楽団としてはどうなのかという答えが、5曲目のC.P.Eバッハのシンフォニアであった。明らかに諏訪内さんを離れた実力派集団に変身し、こちらにもしばし、驚嘆させられてしまった。そして、最後にチョーリャン・リンさんをもう一人のソリストに迎えたヴァイオリン協奏曲で、ここでも諏訪内&ヨーロッパ室内管弦楽団としての演奏を基調としつつ、二人のソリストの掛け合いによるバッハの曲の美しさに包まれるとともに底知れない深く静かな感動がじわりじわりと込み上げてくる自分に呆然として演奏は終わりを告げた。気が付くと、結局前半のフランソワ・ルルーさんは過去のものとなっていて、主役はやっぱり最初から諏訪内さんだったのかとここで理解した。
 主役は諏訪内さんであっても、超大物ばかりの各共演者にそれぞれ十分な自己主張の場があって堪能できる、何か緻密に計算されたようなところがあり、普段の何倍も楽しめるコンサートであった。アンコールはサラサーテ、バルトークの後、密かに期待していた諏訪内さんの無伴奏ソナタ3番のラルゴであった。過去にアンコールで聴いて以来耳に残ってしまったものだが、神のような演奏の終了とともに誰もが今日の演奏会の終わりを認識した。
うーん、やっぱり諏訪内さんは凄い。帰りに会場で最新のCDを買って帰ったが、帰途、自分の中で知性のポイントがアップしたような、そんな充実感に包まれていた。

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